1/8 電動オフロードRCカーを始めるために必要なもの

最終更新日: 2024年6月12日

電動オフロードRCカーを買うときには、車の他に何が必要になるでしょうか。 ここでは、これから 1/8 スケール電動オフロードカーを始める方が、準備する必要のあるものを説明します。

それぞれのモノが何か理解するためには、少し電動RCカーの仕組みを知らないといけません。わからない方は先に「電動RCカーの仕組み」をご覧ください。

それでは、ひとつひとつ見ていきましょう。

電動RCカーキット

まず初めに当然ながら、RCカーの車両本体が必要です。レース用の電動RCカーは、組み立てが必要な「キット」として販売されています。

1/8 電動オフロードカーには、「バギー」と「トラギー」という2種類の車種がありますが、「初心者だから、こちらを選ぶ」というように決まったものはありません。 やりたい方から、やれば良いと思います。

特に「こちらをやりたい」と決めたものがないのであれば、バギーから始めると良いと思います。バギーの方が、少しユーザーが多いので、困った時など助けてくれる人も多いかもしれません。

LiPo バッテリーと充電器

1/8 電動オフロードカーは 4S LiPo バッテリーを使います。

4S LiPo バッテリーにするためには、単純に 「4S LiPo バッテリーを1本使用する場合」と「2S LiPo バッテリーを2本直列に接続して使用する場合」があります。

詳しくは「1/8 電動オフロードカーで使うバッテリー」をご覧ください。

4S LiPo バッテリーを1本使うか、2S LiPo バッテリーを使うかは、車種によってサポートされる構成が異なります。

例えば、TLR の 8IGHT X/E 2.0 では、2S ショーティ LiPo バッテリーを2個搭載するのが基本構成です。 Mugen の MBX8R ECO の場合であれば 4S バッテリーを1個搭載します。この場合 Shorty または フルサイズはどちらでも OK です。

このように、車を決めたら使えるバッテリーも決まりますので、バッテリーを選ぶには車を先に決める必要があります。

1/8 電動オフロードのレースでは、バギーでもトラギーでも、通常メインレースは 8分または10分間のレースである場合が多いです。 このため、最低でも10分はしっかり走り切れるだけの容量が必要になります。

目安として、バギーなら 6000mha、トラギーなら 6500mha 以上の容量を選ぶと良いでしょう。

また、LiPo バッテリーは、当然ながら充電してから使うので、充電器も必要になります。最低でも 2S と 4S LiPo バッテリーに対応した充電器を選びましょう。

送信機と受信機のセット

遠隔操作のキモとなるのは、送信機 (トランスミッタ) と受信機 (レシーバ) です。

送信機と受信機の間の通信方式は、各社のメーカー毎にいろいろあって、どの組み合わせでも使える、というわけではありません。

「送信機」と「受信機」は通常、セットで販売されていますので、そうしたセットで買えば問題ないはずです。

日本では「プロポセット」という呼び名で、送信機と受信機のセットが販売されています。アメリカではそうした特別な言い方はありません。 車用の送信機と受信機のセットは Surface 用の "Transmitter System" とか "Transmitter with Receiver" などとして販売されています。

サーボ

スペックとしては、最低でもトルクは 300 [oz-in]、スピードは 0.15 [s/60°] くらいは欲しいところです。

また、1/8 オフロードは車体も重く、負荷もかかり、サーボも壊れやすいので、金属のギアのタイプを選びましょう。

購入の際には、サーボの使用用途に「1/8 オフロード向け」と記載のあるものを選ぶと良いでしょう。

ESC

ESC は定番の ESC がほぼ決まっています。次の中から選ぶと良いでしょう。

  • Hobbywing XR8 シリーズ (Pro/Plus/SCT など)
  • Tekin RX8 Gen3
  • Reedy Blackbox 850R

モーターとピニオンギア

1/8 スケール電動オフロードカー向けのモーターは、ざっくりというとまず、「バギー向け」と「トラギー向け」の2種類があります。 トラギー向けのモーターは、バギー向けより少しモーターの缶が長いタイプになります。

ルール上は、どちら向けのモーターを、どちらのカテゴリーで使用しても問題ありません。

バギー用のモーターの回転数は 1900kV から 2200kV くらいまでの範囲で選びます。はじめは 1900kV を選ぶと良いと思います。

こちらも定番のモーターがあって、次のいずれかがおすすめです。

  • Tekin T8 GEN3 1900kV
  • Hobbywing 4268SD G3 1900kV
  • Reedy Sonic 866 Buggy Motor 1900kV

トラギー用のモーターは、少し回転数が高く 2000kV から 2250kV 位の範囲になります。こちらもはじめは、回転数の低い 2000kV くらいで良いと思います。

回転数が低いと言っても、トップクラスのレースでも 2000kV を使う人がいますので、遅くなることを心配する必要はありません。

人気のモーターは次のようなものがあります。

  • Tekin Redline T8 GEN3 4038 1/8 - 2000kV
  • Hobbywing Xerun 4274SD G3 - 2250kV

それから、モーターに取り付けるピニオンギアは、キットに付属しないのが普通です。キットのマニュアルに従い、適切なサイズのピニオンギアを用意してください。

通常は "MOD 1" というモジュールサイズのピニオンギアを使います (この点もキットのマニュアルを確認してください)。

ピニオンギアの推奨サイズ (ギアの歯数) は、使用するモーター、トラックサイズ、ドライバーの好み等の条件で変わってきますので、一概にコレと言えません。通常、キットのマニュアルにはギアの推奨サイズが書いていますので、それを参考にしてください。例えば、TEKNO EB48 2.1 のマニュアルには、次のように記載されています。

このチャートによればモーターが 1900kV である場合、だいたい 16T 前後位を使用するのが推奨されていると言えます。

タイヤ

バギーにはバギー向け、トラギーにはトラギー向けのタイヤが、最低1セット (4本) 必要です。

基本的に、車種によらずどの車にも同じタイヤが使えますので、「1/8 のバギー向けタイヤ」であるか「1/8 のトラギー向けタイヤ」であるかに注意すれば十分です。

タイヤとホイールは予め接着してあるタイプと、自分で接着してあるタイプの2種類あります。はじめは、予め接着済みのタイヤを買うと良いと思います。

どのタイヤを使えば良いかは、路面の状態によります。走行する予定のレーストラックに一度行き、どのタイヤが良いか、たくさんの人に聞いてみると良いでしょう。

キットの制作に必要なツール類

キットを組み立てる上で必要なツールは、キットによって異なりますので、ここでは TEKNO の E-Buggy である EB48 2.1 のマニュアルに沿って説明します。

EB48 2.1 の説明書には、必要なツールとして次のように記載されています。

通常、次のようなツールくらいは最低でも必要になります。

ヘックスドライバー

ネジを回すための、最も基本的なツールです。RC カーで使う一般的なネジは、六角のネジ穴のついたネジです。それを回すドライバーが、ヘックスドライバーです。

サイズは 1.5mm、2.0mm、2.5mm が必要です。

ちなみに、上記の写真のような柄の付いた標準的なドライバーのほか、次のように先端のビットを取り替えて柄に取り付けて使うタイプのドライバーがあります。

こうしたドライバービットは、異なるサイズのドライバーを使うたびに、ビットを付け替えないといけない点では不便なのですが、 パワーツール (電動ドライバー) に取り付けて使うこともできる点は、とても便利です。

私の場合は 1.5mm などの細いドライバーは、パワーツールで使わないので柄のついたドライバーを使い、2.0mm や 2.5mm はパワーツールで使う機会が多いのでビットを主に使っています。(もちろん、手回し用のハンドルも使っています。)

ナットドライバー

ナットを回すためのドライバーです。最低でも 7mm と 5.5mm は必要です。

オープンレンチ

キットによって必要なサイズは異なりますが、テクノの EB48 2.1 の場合は、ショックを組み立てるのに 12mm と 17mm、 さらにターンバックルレンチとして 4mm と 5mm のオープンレンチが必要です。

もちろん、専用の「ターンバックルレンチ」として、各 RC メーカーから販売されているものでも構いません。

17mm ホイールレンチ

タイヤをとめるためのホイールナットは、各社 17mm のナットが使われています。タイヤをしっかり取り付けられるよう、専用のホイールレンチが必要です。

はんだ・はんだごて等

モーターと ESC あるいはバッテリーのプラグなどは、はんだ付けが必要です。

まともに揃えると、「R/C カーのはんだ付け」に書いたようなものがあると良いのですが、 最低でも次の三つはほぼ必需品と言って良いと思います。

  • はんだごてステーション

    絶対に必要なのは「はんだごて」の部分だけなのですが、はんだごてを安全に置くホルダー、こて先を拭くスポンジ等がないと、作業が不便すぎますので、ステーション全体が最低限と考えて良いと思います。

  • はんだ

    MG Chemicals の "63/37 Rosin Core" と記載されているものがおすすめです。

  • RA フラックス

    ヤニ入りはんだを使っていても、RA フラックスはあった方が良いです。そんなに高いものではないですし、揃えた方が良いと思います。

レクサンボディ用のハサミとリーマー

ボディはプレカットのタイプもありますが、自分で切ったり、穴を開けたりする必要があります。

普通の紙を切るようなハサミでは、レクサン (ポリカーボネード) のボディーを切るのは難しいです。専用のハサミを使う方が良いです。

また、ボディマウントを通す穴を開ける場合には、ボディ・リーマーというツールで行います。

  • ボディ・リーマー
  • ノギス

ボディのペイント

ボディー自体は、通常はキットに付属しています (稀にボディーが別売りの場合がありますので、ご注意ください)。ボディーは、透明のままですから、自分で塗装する必要があります。

ボディーの材質は「レクサン (ポリカーボネード)」 用のペイントが必要です。

ノギス

キットの制作、調整ではあちこちミリ単位で長さを測ることがよくあります。 電子ノギス (digital caliper) はあった方が良いです。

安全メガネ

キットの制作中にはここで挙げてきたように、各種ツールを使います。作業中は、安全メガネを使用することをお勧めします。

その他

その他、ピンセット (ツウィーザーズ)、ラジオペンチ (プライヤ)、ニッパー (カッター)、デザインナイフ (プレシジョンナイフ) など、 クラフトで一般的なツール類も揃っていた方が便利です。よく使います。

アメリカで買えるものとしては、次のツール類がおすすめです。

ピンセットのおすすめは Hakko の CHP 7-SA。精度が良く、ちゃんと細かいパーツをつかむことができます。

ニッパーのおすすめは Hakko の CHP 170。よく切れるし、サイズも大きすぎず、使い勝手が良いです。

ペンチのおすすめは Hakko の CHP PNB-2005。先が曲がったタイプです。こちらも小さいネジなどもつかみやすいです。

ここにおすすめを挙げた通り、はんだごてステーションもそうですが、アメリカで買える汎用ツールとしては、Hakko は非常に良いものばかりです。 僕の場合、先入観なく良いものと思って使っていたら、自然と Hakko ばかりになっていました

デザインナイフのおすすめは OLFA の AK-5。よく切れるし、刃も適度に短くて、扱いやすいです。

車の調整に必要なツール類

車が完成して、さあ走らせるぞ、となったときに、車の状態をチェックしたり、調整したりするためには、次のようなツールが最低限必要になります。

車高ゲージ

車高をチェックするためには、車高ゲージ (Ride Height Gauge) と呼ばれる専用ツールを使います。通常、バギーなら 20-30mm の範囲、トラギーでは 30-40mm の範囲を測れるツールが必要になります。

キャンバーゲージ

キャンバー (正面から見たタイヤの角度) をチェックするには、キャンバーゲージ (Camber Gauge) というツールを使います。

以上に挙げた他にも、あった方がよい、というものはたくさんありますが、はじめにあった方が良い最低限必要となるものは、以上のものになります。

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