全日本兼プレワールドをみて思う

6/8/2015

これはオフロード・レースなのか？

平坦な路面に人工芝を敷いて、そこに障害物を置いて、「ハイ、これがオフロードレースですよ」と言われる度に、 「いや、違うよ。それはオフロードレースではない」と思ってしまいます。

「オフロードカーで走ればオフロード。オンロードで走ればオンロード」というわけではありません。

次のビデオは、オンロードカーで走ってますが、これはオンロード、オフロード、どちらですか？オフロードですよね。

少し真面目に調べてみました。

オフロードとは・・・

「道路以外の場所。また、舗装されていない道。」 (デジタル大辞泉)

「原野や砂浜など、道路が整備されていない場所。」(集英社国語辞典)

「オフロード（英: Off-road）とは、舗装されている道路以外の場所を車両で通行する場合にその場所のことを指す。その程度は、舗装されていない林道から自然のままの地形までと幅広い。オフロードを走行することをクロスカントリーと呼ぶ場合もある。これと対比して、舗装された道路はオンロード（英: On-road）という。」 (Wikipedia)

次に IFMAR のルールをみてみましたが、残念ながら、オフロードとは何ぞや、という点については明確な記載はありませんでした。しかし、 結論 (Conclusion) のセクションにガイドライン的な記載がありました。

念のため参考訳を記載すると、次のようになるでしょうか。

コースレイアウトは推奨された構成要素及び構造を利用し、フルスケールの実車のレースが行われる実際のオフロードサーキットを非常に近く模倣することが望ましい。さらに、トラックの状態は一定とし、全ての競技者に対して平等に公正な機会を与えること。ストレートの長さ、ジャンプあるいはモーグル等の制限は特別なバッテリーやモーターによる影響を減少させ、極めて公正かつ公平に競技する雰囲気を生む。​

オフロードの定義を記載する代わりに、実車のオフロードレースの模倣を推奨しています。 そこで実車のオフロードレースをみるとこんなです。

お題が「味噌ラーメンと醤油ラーメンはどこが違うか」ということなら、 似ているところが大半で違う場所がスープだけなので、違うところを指摘するのは簡単です。

しかし「イスと机の違いを述べよ」といわれると、そもそも同じところが「どちらも家具」というだけで、他は全部違うので指摘するのが大変です。

今回の 「オンロード上の人工芝障害物競争」と「オフロードレース」の違いも然り。違いすぎて、説明を試みようとすると書くことがいっぱいありすぎて書き尽くせません。

そもそもオフロードでもないし、実車のそれとも違う。全く別物という説明で十分でしょう。

今回のコースを許可するために、オンロード上の平坦人工芝コースを IFMAR が許可したのは、オフロードレースとしては間違いだったと言わざるをえません。

プラクティスラウンドはもっと必要だった

それから、世界戦本番では実際には練習日が設定されています。DAY2 には「最低でも6ラウンド」(さらに最後のラウンドはコントロールド・プラクティス) 予定されていて、DAY3 にもコントロールド・プラクティス 2 の１ラウンドがあります。

従来の全日本ではこんなに練習走行は無いでしょうが、世界戦ではこれだけプラクティスラウンドがあります。

プレワールドと全日本を混ぜたことで、 「前日だけで最低6ラウンドの練習があるレース（本番）」と 「当日の1ラウンドのみの練習ラウンドしかないレース（かつ、未知の新品人工芝）」 という大きな違いを残したままになったわけです。

これは明らかに海外選手に圧倒的不利な状況。これで海外選手を倒したとか言われると、どうにも納得がいかないものがあります。

そんな不利な状況でも、さすがよくぞ接戦に持ち込んだものだ、と思います。

それから、「本番も直前練習が無いから今回もその通りですよ」という説明をたまに目にしますが、意図が良く分かりません。本番は練習があります。 今回は練習させずにレースをしただけです。

ホーム・アドバンテージはあって当然。でも・・・

せめて従来の土路面で、過去谷田部で走ったことがある人がある程度ホームアドバンテージがありました、という程度のことなら全く構いません。

でも、今回の状況は海外の選手にしてみれば何から何まで新方式。しかもオフロードと呼ぶことすら疑問が出るコース。そこで５分だけの練習にしておいて、競争して勝った、負けた、というのは、 やっぱりフェアではないと思います。

以上、今回は２点だけの指摘で・・・他はまた別の機会に。