R/C カーで使われるコネクター
最終更新日: 2024年3月12日
ここでは RC カーの配線で使われるコネクター類について説明します。ただし、コネクターの種類は非常にたくさんあり網羅はできませんので、主に当サイトで力を入れている E-Buggy 等で主に用いられるコネクターを紹介します。
普段はあまり、このコネクターは何々コネクターだ、などと意識する必要はありません。しかし、いざ問題が発生した場合などは、コネクターの名称等を知っていると、修理に必要なパーツを揃えることができることが多く便利なこともあります。
デュポンコネクター
デュポンコネクター (DuPont connectors) は、主にレシーバーと周辺機器との接続で最も一般的にみられるコネクターです。レシーバーと ESC やサーボとの接続には、上記写真のように3ピンのコネクターが用いられます。
冷却ファンを ESC に取り付ける場合など、ワイヤーが2本で良い場合は 2 ピンのデュポンコネクターが利用される場合もあります。
ピンの間隔 (ピッチ) は 2.54mm です。中途半端な数字ではなく、要は 0.1 インチ間隔です。
コネクタ内部のピンの部分は「ジャンパーピン」(jumber pin) とか「クリンプピン」(crimp pin) などと呼ばれます。日本では「コンタクトピン」等の名称が一般的かもしれません。レシーバー側のピンはオス (Male) で、サーボ・ESC 側はメス (Female) です。
3ピンの場合、通常はワイヤーを下側、スリットを手前に向けた時に、右側が − 極、中央が + 極とします。
Futaba J Connector
尚、同様のコネクターで フタバ J コネクター (Futaba J Connectors) というコネクターもあります。これはデュポンコネクターに爪 (キー) が付いており、差し込みの向きを強制できるようにしてあります。
下の写真で左側がデュポンコネクターで、右側がフタバ J コネクターです。フタバ J コネクターには、緑で示した箇所に突起があります。
フタバ J コネクターを差し込む側には、下記の矢印の箇所のように切り欠きが設けられます。これによって、コネクターの突起部分が、この切り欠きとハマることで、コネクタの差し込みの向きを強制することができます。
切り欠きのない差し込み口に、フタバ J コネクターを差し込みたい場合は、突起を切除します。これで通常のデュポンコネクターと同様の形状になるので、差し込み可能になります。
突起 (爪) の位置は下図のように、 − 極と反対側にあります。
ブレットプラグ
純レース仕様の LiPo バッテリーのコネクタとして、一般的なのがブレットプラグ (Bullet plugs) です。
4S LiPo バッテリーでは 5mm 径が一般的です。2S LiPo バッテリーでは 4mm 径の場合もあります。
プラグの挿入部に切り込みがあり、プラグの胴部分が外に広げられバネとなることで、脱落を防いでいます。
しばらくブレットプラグを使っていると、胴部分が閉じてくることでバネの効きが悪くなり、プラグの装着が緩くなる場合があります。 接続が緩いまま使用すると、接触不良のトラブルの原因となるので、プラグを広げて元に戻すと良いです。しかし、何度か押し広げているとピンが疲労して折れる場合もありますので、時々交換することをお勧めします。
バナナプラグ
バナナプラグ (Banana plugs) は挿入部に板バネが取り付けられており、抜き差ししやすい上に意図せぬ脱落も少ないコネクターです。 ブレットプラグと比べると、胴のバネ部分に耐久性があり、長持ちするのが普通です。チャージリードなどで主に用いられます。
チャージリードの充電器側のプラグには、主に 4mm のバナナプラグが用いられます。
2S LiPo バッテリーのバランスリードは通常 2mm のバナナプラグが用いられます。
T 型コネクタ (Deans プラグ)
T 型コネクタ (T-Style connectors, T-Plugs) または Deans プラグ (Deans plugs) は LiPo バッテリーの接続で広く使われています。平板のプラグに板バネがついていて、脱着が簡単である上に、しっかり接続できます。
極性は通常 T 字の頭の部分が + 極、もう一方が − 極とします。
従来型の T 型コネクタは、樹脂の部分が上図のような赤色です。しかしながら、近年はオリジナルの W.S. Deans 社のプラグは下の写真のような白色となりました。
Deans 社の新しいプラグは白色となり樹脂の部分が丈夫になり、比較的高温に耐えられるようになっています。 以前ははんだ付けの作業時間が長い場合など、樹脂の部分が熱で変形することがありましたが、白色の Deans Ultra Plug ではそうした問題が起きにくいようです。
正確な仕様等の記載が見つかりませんでしたが、RC で利用する場合は Deans のオリジナルの白色型を使うことをお勧めします。
JST コネクター
JST コネクター (JST connectors) は日本圧着端子製造株式会社 (JST) がオリジナルで製造していたコネクターで、現在は汎用的に広く使用されています。 規格によってさまざまなシリーズがありますが、特に RC カーで使用されるのは XH, XA, PX, ZH の 4 種類です。
JST XH コネクター
LiPo バッテリーのバランスリード等で最も広く使われているのが、JST XH コネクターです。
写真のようなコネクターは、充電器やバッテリーでよく見かけると思います。
ピンの間隔 (ピッチ) は 2.5mm です。ワイヤーは 30AWG から 22AWG まで使えます (22AWG が多く使われています)。
4S のバッテリーではバッテリー側が 5 ピン、充電器側は「(バランス充電に対応しているセル数) + 1」個のピンがあります。6S 対応の充電器なら、バランスケーブルは 7 ピンになります。
バッテリー側のバランスケーブルのピン数と充電器側のピン数は異なる場合が多いので、「XH Adapter」を使用してバッテリーとチャージャーのバランスケーブルを接続します。
JST XA コネクター
JST XA コネクターは、上記の JST XH とサイズやピンの配置は同様のコネクターですが、ハウジングに脱落防止用のロックが付いているタイプです。
ピッチも XH と同じで 2.5mm ピッチです。
JST PA コネクター
JST PA コネクターは XA に似ていますが、ひとまわり小さいコネクターです。ピッチは 2.0mm です。チャージャーのバランスケーブルで使う XH アダプターなどで使われています。
XA と同様に PA も脱落防止用のロックが付いているコネクターです。
JST ZH コネクター
JST ZH コネクターは、RC カーで使われる JST コネクターの中でもかなり小さいタイプのコネクターです。ピッチは 1.5mm です。
ブラシレスモーターのセンサーワイヤーのコネクターは、6ピンの JST ZH コネクターです。
センサーワイヤー自体については「1/8 電動オフロードカーで使うモーター」などを参照してください。
その他、ESC の冷却ファンなどでも ZH コネクター (2ピン) が使われる場合があります。
ESC やモーターの冷却ファンは、レシーバーまたは ESC に接続するのが一般的です。レシーバーに接続する場合や、ESC のプログラミングポートに接続する場合には、デュポンコネクターを使う場合も一般的です。
XT コネクター
XT コネクターは、大電流直流コネクターを手掛ける中国の Amass Electronics 社がオリジナルを製造しているコネクターです。現在は様々なメーカーから同様の規格で製造、販売されています。
Amass の XT コネクターはハウジングの許容温度も高く、プラグの抵抗値も小さく性能が良いと言われています。
大きいコネクターから順に XT90、XT60、XT30 とあり、1/8 スケールのバッテリーなどで使用されるのは XT90 または XT60 です。
バッテリー、直流電源等のコネクターとして広く使われています。
極性はコネクターのハウジングに記載がありますが、通常は平らな面になっている方が + 極、もう一方が − 極になります。
XT90 コネクター
XT90 コネクターは XT コネクターの中でサイズが最も大きく、連続定格電流は 45A。特に 4S LiPo バッテリーにあらかじめ取り付けられているコネクターとしてよく使われます。
XT60 コネクター
XT60 コネクターは XT コネクターの中ぐらいのサイズのコネクターです。連続定格電流は 30A。LiPo バッテリーにあらかじめ取り付けられているコネクターとして、XT90 と同様によく使われます。
XT30 コネクター
XT30 コネクターは XT コネクターで最も小さいコネクターです。連続定格電流は 15A。こちらは上記 XT90 や XT60 と異なり、1/8 オフロードカーなどではあまり利用されません (し、使用するべきではありません)。
EC コネクター
EC コネクターは XT コネクターと同様に、主にバッテリーの接続用コネクタとして広く使用されています。 主に使われるものとして EC5 コネクター と EC3 コネクター があり、コネクタのサイズが異なります。
EC コネクターの互換コネクターとして、Spektrum が製造する IC コネクターが利用できます。
直流電源のコネクターとして使用する場合の極性は、通常ハウジングの平らな面がある方を + 極、もう一方を − 極とします。
EC5 コネクター
EC5 コネクターは向きのあるコネクターハウジングにブレットプラグを格納した形をしています。プラグ径は 5mm です。
EC3 コネクター
EC3 コネクター も EC5 と同様の形状で、全体的なサイズが小さいコネクターです。プラグ径は 3.5mm です。
その他のコネクター
特別な状況でない限り、あまり利用されていないコネクターをいくつか取り上げます。
Molex Micro-Fit 3.0 コネクター
Molex Micro-Fit 3.0 規格のコネクター。3.0mm ピッチです。
Gens Ace 7500mAh Lipo バッテリーのバランスケーブルで使われるコネクタは、Molex Item# 0436450500 の 5 ピンコネクターです。
IC コネクター
EC5 コネクター、EC5 コネクターの互換コネクタとして、Spektrum から販売されているコネクタはそれぞれ IC5 コネクター, IC3 コネクターといいます。
IC3、IC5 では Spektrum 社の規格である Smart Charger で利用される端子が追加されています。したがって、EC5, EC3 の代わりに IC5, IC3 を使うことはできますが、IC5, IC3 の代わりとして EC5, EC3 を使うことはできません。
TAMIYA コネクター
日本で知られているかもしれないので、念の為、記載しておきます。タミヤコネクター (Tamiya connectors) は LiPo バッテリーでは使用されません。定格電流は 15A。
当サイトで解説している E-Buggy/E-Truggy 等では、使用するべきではありません。
以上、ここでは特に 1/8 スケール、または 1/10 スケールのハイエンドレース車で使用される、主なコネクターを紹介しました。