出口側を速く~レイトエイペックス
コーナーリングにおける基本的な挙動・考え方については、「コーナーリングの基本」で説明しました。
ここでは、もう少しだけ発展させて、コーナーリングを速く走る方法とその難しさについて説明します。
エイペックスとは?
エイペックス (apex) とは、コーナーリングでインコース側で一番コースの内側に入る場所のことをいいます。エイペックスは、クリッピングポイントなどとも呼ばれます。
エイペックスをコーナーの頂点よりも手前に持ってくるラインを、アーリー・エイペックス、 逆にコーナーの後ろにもって行くラインを、レイトエイペックスといいます。
上の図で赤いラインはアーリー・エイペックス。緑色はレイト・エイペックスのラインです。
コーナーリングにおいて、どのラインが速いか、というのはその前後にどのようなコーナーがあるか、ということに依存しているので、ひとつのコーナーだけを取りあげて、 これが速いと一口にいうことはできません。
しかしながら、実際のレースでは多くの場合「レイト・エイペックス」のラインを心がけるとうまく行く場合が多いようです。
その理由としては、次が挙げられます。
- エイペックスを後ろにするためには、早めにコーナーリングの動作に入る必要があるため、「スピードの出し過ぎによる失敗」が減る。
- インコースに早めに突っ込むみ、コーナー後半で減速が大きくなるミスが減る
後者の理由は少し説明が必要かもしれません。
なぜ、多くの人がインコースに突っ込みがちかというと、次の目標地点としてみえているインコースに向かって走るほうが、まだ先のコーナーの奥側のポイントを意識して走るより単純で簡単だからです。
言い換えると、アーリーエイペックスのラインは「インコースに寄せる」というだけで実現できるので簡単です。そのため初心者がラインを意識し始めると、インコースに早めに突っ込むような形になりがちです。
よくある失敗は、こんな風になります。
ストレートでは、勢いよく走り・・・
コーナーの出口で勢いがあまって、急ブレーキ。そこで滑って、スピードが出なくなります。
コーナーの出口で滑ってしまってドリフトのようにして走ると、豪快に見えて、いかにも速そうですが、実は横滑りしているときは前に進んでいないので遅いものです。
一方、レイトエイペックスのラインを走るためには、コーナーよりも前にコーナーリングのモーションに入らないといけません。
いわば、何も無いところでコーナーリングの動作を自分で始めないといけないから難しいのです。
先を見渡せるようにならないと、なかなかレイトエイペックスのラインは意識できないものです。
常にレイトエイペックスなのが速い、とは言えないかもしれませんが、こうしたラインを意識できるだけでラインの選択の幅が広がります。