アメリカでカーペットコースは人気があるのか?
最終更新日: 6/17/2022
某 YouTube 動画で、 「(競技バギーにおいて) アメリカでも、今は3分の2ぐらいは、カーペットコースに変わってきている (らしい)」ということを話しているのをみました。
え?アメリカで、バギーのレースの過半数がカーペット・・・!?
正直、アメリカでレースをしている僕の実感としては、全くそんなことはないように思われます。少なくとも、ロサンゼルス近郊では違います。カーペットコースは間違いなく少数派です。
でも、僕も全米のことを知っているわけではないので、もしかしたら、他の地区では、アメリカ全体ではカーペットコースも増えてきているのかもしれない・・・
今回は、この辺について、念の為、調べておきたいと思います。
まずは、ロサンゼルス周辺の事情から。
ロサンゼルス周辺での 1/10thオフロードコース
ロサンゼルスで有名なレースシリーズに、JBRL というシリーズがあります。
JBRL は、ジミー・バブコック・レーシング・リーグ (Jimmy Babcoch Racing Leage) の略。ホットロッドホビーズのオーナーのジミーさんが運営しているレースシリーズです。春から秋にかけて、基本的に月一回、南カリフォルニアの主要レーストラックを転戦して、レースポイントを競います。
2022年、1/10 スケールのシリーズは、下記のレーストラックで開催されています。
# | レーストラック | 場所 | コース形式 |
---|---|---|---|
1 | RAINMAN'S HOBBY | Bakersfield, CA | インドア クレイ |
2 | COYOTE HOBBIES | Victorville, CA | インドア クレイ |
3 | SDRC RACEWAY | San Diego, CA | インドア クレイ |
4 | FREEDOM PARK | Camarillo, CA | アウトドア ダート |
5 | CONTROLLED CHAOS | Palmdale, CA | アウトドア ダート |
6 | HOT ROD HOBBIES | Santa Clarita, CA | アウトドア ダート |
RAINMAN'S HOBBY は少し遠いので、僕は行ったことがりません。インターネットで調べてみた限り、 インドアのクレイコースで、ミスト (散水) システムもあり、JConcepts のシルバーコンパウンドで走る感じのようです。
ともあれ、JBRL でカーペットコース開催はありません。
この他、ロサンゼルス近郊で 1/10 スケールのレーストラックとしては、次があります。
レーストラック | 場所 | コース形式 |
---|---|---|
Huckleberry RC | Anaheim, CA | アウトドア ダート |
Ricochet R/C Raceway | El Centro, CA | インドア カーペット |
Rise Up HobbyTown | Palm Desert, CA | インドア カーペット |
この9ヶ所、地図でみるとこうなります。
こう見ると、9ヶ所中、2ヶ所はカーペットコース、ということになり、「ロサンゼルス近辺では 1/5 はカーペット」といえます。
しかし、実際の感覚としては、このカーペットの2ヶ所のうち、1ヶ所 (Ricochet) はメキシコのすぐ横、もう1ヶ所 (Rise Up) はパームスプリングスなので、気軽に行ける場所ではありません。 南カリフォルニアには違いないので、リストに入れてますが、馴染みのある人は少ないと思います。
ロサンゼルスエリアで、ここ10年間でクローズしたトラックには、West Coast RC Raceway, OCRC、SCVRC、LRH、ADRC、IERC、Redlands Raceway、The Yard RC などがあります。 この内、The Yard RC 以外は全てインドア。そして、SCVRC がカーペットだった以外は、全て土コースでした。
以上から、少なくともロサンゼルスエリアでは「アメリカでは3分の2くらいはカーペット」という認識は間違いと言って良いと思います。
アメリカ全体ではカーペットの人気はどうか
それでは、南カリフォルニアに限らないで考えた時、アメリカでのカーペットコースの人気はどうでしょうか。
ひとつひとつのレーストラックを調べるわけにも行かないので、RCSignUp.com で、現在サインアップを受け付けている、イベントの数を調べてみましょう。今現在、59イベントがあります。
これを調べ、傾向を見てみようと思います。厳密ではないにせよ、大まかな傾向くらいはわかるはずです。
ひとつひとつイベントの開催地等をみていきましたが、アメリカ、カナダ、オーストラリアのイベントが含まれていました。カナダはお隣なので良いとして、オーストラリアは除外します。
手作業で見たので、見落としがあるかもしれませんが、アメリカ・カナダのレースイベントは 58 イベント。その内、オフロードレースが 52 イベント、オンロードレースが 6 イベント。 オフロードレースには 1/10th スケールの他にも、1/8th や 1/5th が含まれています。
オフロードレース 52 イベントの内、ダートまたはクレイのコースが 50。カーペットまたは人工芝は、わずかに 2 イベントのみでした。
RCSignUp.com では、クラブレースレベルのイベントは含まれていないので、クラブレースレベルでは、カーペット/人工芝のレースを実施しているところはもっと多いかもしれません。
しかし、「カーペットが流行っている」とか「カーペットのイベントが過半数を超える」とみるのは、難しいでしょう。10年前なら、カーペットのイベントは皆無だったことを考えれば、ひとつ、ふたつイベントがあれば、増加率的には「すごく増えたね」といえるでしょうが、土コース以上に流行っているとは到底言えません。
南カリフォルニアで、カーペットコースは流行っていないのは当然承知してましたが、ざっと調べて見る限りでも、やはりアメリカ全体でも、カーペットレースが流行っているというのには無理がある、と言ってよさそうです。