ポータブル発電機の準備

最終更新日: 2025年1月20日

発電機の準備は必須ではありません。RC カーレースが行われる会場では、たいていの場合はコンセントなどから電源が使えるのが普通です。 ところがまれに、電源がない会場もありますので、自分でポータブル発電機 (Portable Generator) を準備しておくのが望ましいです。

ガソリンの携行やポータブル発電機の法令等に関して、地域で違いがありますので、お住まいの地域での情報に注意してください。 ここでは私の住むカリフォルニアでの、2025年1月現在の情報として記載しています。参考までにご覧ください。

ポータブル発電機の種類

ポータブル発電機の種類としては、大まかに「インバーター式」「従来式」という2種類があります。

インバーター式は発電した電力を一旦直流に変換して、それをインバーターを用いて安定した交流電力に変換するタイプです。一般に電力供給の安定性が高くなります。一方、従来型と分類される発電機はそうした処理を行わないため、波形が不安定な交流電力になりやすく、精密機器を利用するのに適していません。通常、比較的単純な電動工具や照明などに利用します。

LiPo バッテリーの充電器を含む、電子機器を利用するためには、必ずインバーター式の発電機を選びましょう。

RC カーレースで使う発電機に必要な電力

ポータブル発電機を使う主な目的は、 1/8 電動オフロードカーで利用するバッテリーを充電するためです。その他、手持ちの携帯電話を充電するとか、夜間のレースの時の照明のための電源にするなどの目的はありますが、最も電力を使う場面はバッテリーの充電といって良いでしょう。

ポータブル発電機で必要な電力を、おおまかに計算してみましょう。

前提として 10A で充電するとします。この場合、1本のバッテリーの充電で 16.8V × 10A = 168 W が必要です (充電電力)。充電器の効率を 85% 程度とすると、充電器で消費される電力は 168/0.85 = 198W になります。

つまり、バッテリーを1本チャージするのに必要な発電機のパワーは連続 198W になります。

もし、4本同時にチャージするならその4倍で、198W × 4 = 792W です。

その他、電灯、携帯電話のチャージ等 (iPhone で 20W 程度) でも使うことを考えると、少し余裕を見てざっくり 100W ~ 200W くらい足しておくと十分かな、と思います。

以上を踏まえると、10A で充電する場合に、ポータブル発電機で必要な電力は次のようになります。

  • ギリギリで 1 本チャージするなら 200W 程度
  • 1本のチャージでいいけど少し余裕を見るなら 300W
  • 4本同時充電に必要な電力は 800W 弱程度
  • 4本同時充電をしながら少し余裕を見るなら 1,000W 程度

このくらいが、10A でチャージする場合に必要な電力の目安ということになります。充電電流を調整することで、必要な電力も変わりますから、あくまで目安として考えてください。

必要最低限の電力を考慮しながら、発電機自体のサイズ、重量、メーカーの評判、価格等、さらに下記のような法令等を確認して発電機を選ぶことになります。

ポータブル発電機を選ぶ時には EPA や CARB 等の規制に注意

アメリカでは連邦の環境保護庁 (Environmental Protection Agency 略称 EPA) が、エンジンを利用する幅広い機械に対して、排出ガスや安全機能に関する基準を定めています。 ポータブル発電機に関しても、EPA の基準を満たしている必要があります。

発電機を選ぶ際には EPA の基準を満たし、EPA 認証を受けている製品を選ぶ必要があります。 EPA 認証を受けている発電機は "EPA Compliant" (EPA 準拠) とか "EPA Certified" (EPA 認証) と明記されています。

さらに、カリフォルニアでは、カリフォルニア州大気資源局 (California Air Resources Board 略称 CARB) が EPA 基準よりも厳しい基準を定めています。 このためカリフォルニア州では、ポータブル発電機も CARB の基準を満たしている製品しか使用してはいけないことになっています。

CARB の認証を受けている製品には、"CARB Compliant" (CARB 準拠) とか "CARB Certified" (CARB 認証) などと明記されています。

カリフォルニアでポータブル発電機を選ぶ際には、CARB 認証を受けていることを確認する必要があります。CARB 基準は EPA 基準より厳しいため、CARB 認証を受けている場合、EPA 基準も満たしています。

ポータブル発電機の燃料は?

燃料は発電機の種類によりますが、基本的には通常の無鉛ガソリンを利用するのが一般的です。

一例として、Westinghouse iGen 1500c では、オクタン価が 87 から 93 の無鉛ガソリンを使い、E15 燃料は使えないことになっています。E15 は 15% エタノール、85% ガソリンの燃料です。使用する発電機のマニュアルを確認して、適切なガソリンを用意する必要があります。

ガソリンは一般的なガソリンスタンドで購入可能です。

ガソリン運搬用のタンクは専用品を使う

アメリカではガソリン携行用のタンクは通常赤色をしていて、UL (アメリカ保険業者安全試験所) や DOT (米国運輸省) の認証マークが記載されているものを使います。 もしくは CARB 準拠、EPA 準拠といった記載があれば問題ありません。

エンジンオイルは説明書に記載のものを利用

発電機はエンジンで駆動するため、エンジンオイルを入れる必要があります。利用するエンジンオイルの詳細については、各発電機のマニュアルに記載されています。

一例として、WEN 56125i 発電機のマニュアルを見ると、下記のように通常の環境下では SAE 30 オイルまたは 10W-30 オイルが推奨されています。

尚、SAE 30 というのは、SAE (Society of Automotive Engineers) 規格の粘度「30」であることを示しています。SAE 30 は 100°C で測定される動粘度が 9.3 から 12.5 cSt の範囲にあるオイルのことです。この規格では低温での性能については考慮されていません。

一方、10W-30 は多粘度 (マルチグレードオイル) であり、常温 (高温) 利用時のみならず、低温利用時においても必要な流動性が保証されているオイルです (W は Winter (冬) の意味)。 常温使用時の粘度性能が 30 であり、低温使用時 (-25°C 付近) での利用でも「10W」という流動性が確保されるオイルであることを示しています。

10W-30 が多粘度オイルであるのに対して、SEA 30 は単粘度 (モノグレード) です。上記マニュアルには 「30W オイル」という記載もありますが、これは通常 SAE 30 と同様のモノグレードオイルを指す俗称です。

まとめ

以上を踏まえて、RC レースで使用するためのポータブル発電機を準備するには最低限、下記のものがあれば良いでしょう。

  • インバーター式のポータブル発電機 (最低でも連続で 800W 程度の出力のあるもの)
    カリフォルニア在住者は CARB 準拠の発電機であることを確認する。
  • ガソリン、及びガソリンを携行するためのタンク (1ガロン程度)
  • エンジンオイル (発電機のマニュアル記載のもの)